このページでは、NHKテキスト「腸内細菌のチカラ」の内容を、自分でわかりやすいように、端的に整理して、見解を書き出していきます。
もくじ
草食動物の栄養戦略
- ベジタリアンの動物は多いが、体が大きい動物もいる
- 草食動物は、消化機構の違いによって2種類に分けられる
- 前胃発酵動物=牛、羊、鹿、山羊、など
- 後腸発酵動物=馬、うさぎ、など
- 草食動物の胃や大腸には、草を分解する微生物が大量に棲息している
- その分解と発酵によってできたものを利用している
- 私たちヒトなどの雑食性の動物は、草食動物ほどではないにせよ、腸内細菌による難消化性の食物繊維の分解や発酵が同様に行われている
- 酢酸、プロピオン酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」がわずかながらも生成され、体に吸収されている
- すべての動物において、短鎖脂肪酸は、体をつくるとともに生きるためのエネルギーとなっている物質
肉食を始めた人類
- タンパク質を構成する最小の物質がアミノ酸
- ヒトがタンパク質を摂取すると、アミノ酸に分解される
- 分解されたアミノ酸は、再び体に必要なタンパク質に組み替えている
- 「破壊と創造」が起こっている
ヒトの祖先について整理します
- 420万年前〜200万年前:アウストラロピテクス:大きな歯、強力なあご、長い腸管を持っていたとされる:果実、木の実、ナッツ類を主食として、大半のエネルギー源は植物性のもの
- 230万年前:ホモ・ハビリス:石器を開発、肉食獣が食べ残していった動物の死骸を解体するのに利用:この時期から肉食に傾く:植物を消化する機能は衰えていく
脳−腸トレードオフ学説について
- ほぼ草食動物のブタ:腸管 対 体長との比率=25対1
- 肉食のネコ:腸管 対 体長との比率=4対1
- ヒトの場合も、肉食に移ると腸が短くなり、脳が大きくなった
ヒトは脳が大きくなって、言語を用いたコミュニケーションを利用し、深く思考し、行動するようになった。そして、効率や快適を求めるようになった、と考えられる。
長い腸には巻かれるな
- 「日本人は腸が長い。欧米人は、日本人と比較して腸が短い」という噂がある
- 実は、ほぼ同じであった
- 20世紀初めの日本人の平均寿命は40歳足らずであった
- 昭和初期から、タンパク質を取るようになり、長寿国となった
- しかし現代は、生活習慣病やがんの罹患率が増えている
- ここで言いたいことは、「食べ物で寿命が変わる」ということ
赤ちゃんはなぜ何でもなめたがる?
- コアラやパンダ、シロアリも、必要な腸内細菌を獲得している
- 人間も、腸内細菌を多様化して、免疫を獲得している
- 赤ちゃんは胎内では無菌
- 生後、母乳から免疫を獲得
- その後、雑菌だらけの世界で生きていくには、免疫を高めなければならない
- そこで、近くにあるものを舐めて、雑菌を取り込み、免疫を高めている
腸内細菌組成は一生モノ
- 欧米では「衛生環境仮説」が支持されている
- (過剰なほどの)清潔な衛生環境や抗生物質の使用頻度の増加により、乳幼児期の感染機会が減少
- それと同時に、アレルギー疾患が急増していることに注目している
- きれいな食器で、無菌に近い食事をしている動物はヒトだけ
ここで述べてきたのは、腸内細菌の中でも、培養できる菌の話ですが、最近の研究では、当時の想定以上の腸内細菌がいることがわかってきている
→ 思っていたよりも、腸内細菌は多様性に溢れている
さらに・・・
ヒトが各自持っている腸内細菌は、生まれてから約3年以内の生活環境で決定され、それが「指紋」のように、一生変わらないということがわかってきた
さらに・・・
母親のビフィズス菌が子供に受け継がれる、ということもわかってきた
プラーナの感想
第2回では、肉食動物と草食動物を消化器官の特徴から読み解き、人類の進化の仮説について語られていました。進化の過程からの論理的な解説は、「時代が選んだモノたち」ですから、そのプロセスには説得力が感じられます。
また、腸内細菌との共生や協業によって、あまったエネルギー(血流)を脳に回すことで、脳が大きくなり、現在のヒトのスタイルが形作られているということが説明されました。
さらにヒトはどうやって、多様な腸内細菌、ひいては多様な免疫力を獲得しているのか、ということもわかりやすく語られています。
なんというか。人類史の貴重なプロセスを共有させていただいたようで、鳥肌が立つし、1つの真理に触れたような、神聖な気持ちになりました。
・・・言い過ぎですかね。笑
まぁ、そうはいっても、とても貴重な情報をいただけて、本当にありがたいことです。
このご時世、新型コロナウイルス感染症の流行で、衛生管理が見直されて、除菌なども進むようになり、ますます「潔癖な社会」に入ろうとしています。たしかに、人体に有害な菌やウイルスはなるべく遠ざけなければなりませんが、過剰な衛生環境は、有用な菌まで遠ざけてしまいます。
これも、「白」「黒」をはっきりつけるというよりも、バランスや多様性を重んじながら、じぶんに合った環境、健康管理をしていくべきだと感じました。
別の回で出てくると思うのですが、こういう情報を知ってしまうと、これまでの常識が180度反転するような、もしくは、90度回転するような、いわゆる「コペルニクス的転回」が起こりますよね。
いうなれば、「キレイはキタナい、キタナいはキレイ」と言ったことです。
うまい例えかどうかわかりませんが、オセロで全部を白や黒にするのではなくて、そのバランスが大切だし、白も黒もない(無菌状態)というのは、そもそもオセロなのか?ということも考えなければなりません。
こういう観点からボクたちは「単純なロボット」ではなく、マトリョーシカのような「生命の入れ子構造」となっており、「人体に宇宙がある」というのもまた、腸内細菌の世界を表現してきたのかもしれませんね。
「寄生」とか「宿主」とかいうワードを出されると、ボクの中の潔癖な面が出てきて、「なんかちょっと気持ち悪いな」みたいな感じも覚えますが、これはそれらのワードが「悪い意味で使われてきて、刷り込まれている」と受け取るべきでしょう。
ボクの中には仲間がいる、と思えば。
孤独じゃないと感じられれば。
「寄生」や「宿主」というワードも、ポジティブに受け取れるように思いました。ここにあたらしいアップデートの鍵が隠されているようにも思います。