このページでは、NHKテキスト「腸内細菌のチカラ」の内容を、自分でわかりやすいように、端的に整理して、見解を書き出していきます。
もくじ
「悪玉菌」は本当に悪いのか
- 最近の遺伝子検査法で腸内細菌の全体像を調べた
- 腸内細菌の約4分の3が「フィルミクテス門」の細菌類
- ・・・納豆などの発酵食品に含まれている菌
- ・・・ヒトの皮膚などに存在する菌
- ・・・土壌菌の仲間の菌
- つぎに多いのが「バクテロイデス門」で、「日和見菌」と呼ばれている腸内細菌
- それに対して、大腸菌などの細菌やビフィズス菌などの善玉菌は、それぞれ腸内細菌全体の10%くらい
- ここで言いたいことは、「腸内細菌の大部分が日和見菌である」ということ
ここでクイズです。腸内細菌の組成は一生変わらないのに、なぜ善玉菌が少しでも増えると体調が良くなるのでしょうか。
- 腸内細菌の組成は幼少期に構築され、ほぼ変化しない
- つまり、問題は「腸内細菌の数」と「腸内細菌叢(腸内フローラ)」のほんの少しのバランスの乱れである
- 善玉菌が増えると、日和見菌が善玉菌に協力して、体調が良くなる
- 悪玉菌が増えると、日和見菌が悪玉菌に協力すて、体調が悪くなる
ここで大切なのは、
- 善玉菌だけが必要なわけではなく、悪玉菌も、日和見菌も大事な役割を担っている、ということ
- 腸内細菌は、そんなに簡単に「善悪」で分類することはできない
- 多様な腸内細菌は、常に勢力争いをしながらコミュニケーションをとり合うことで、体内活性物質をつくったり、新陳代謝を促したりしています
- 免疫機能が十分に働き、ヒトが元気で若々しく生きるためには、腸内細菌の数とバランスが重要
- このカギを握っているのが「日和見菌」
日本人が持つ、最強の腸内細菌
- 腸内細菌の菌種組成は国ごとで大きく異なる
- 特に、海藻類を分解する酵素遺伝子は日本人の90%に保有される(他国民の平均は15%程度)
- これは、環境によってこういう能力を獲得することができることを表している
- つまり、「DNAが全て決めている」という考えにとらわれないことが大切
- ひと言で言えば、「環境」や「生活習慣」で変われる、ということ
右手の細菌、左手の細菌
- 右手と左手で、細菌叢に違いがあるのかを実験したチームがある
- 手を洗っても、個人が持つ菌の多様性はあまり変わらない
- 手に住みつく最近には順番がある
- 女性の方が、手の微生物の多様性が高い
- 利き手の微生物の17%しか、反対の手には見つからなかった
- 細菌の多様性には、時間的な要素もある
- 細菌にとって、私たちの体は「まさに地球」のようなもの
栄養失調のカギを握る腸内細菌
- 食の欧米化が進んでいる
- 海藻を食べる機会が減ると、特徴的な腸内細菌も減ってしまうかも?
- 私たちがタンパク質を食べなければならないのは、必須アミノ酸を自力で作る能力を持っていないから
- よって、必須アミノ酸を食物から得たり、それらを作り出してくれる腸内細菌との共存が必要となる
- さらに、腸内微生物が代謝する物質によって、私たちの発達や健康が左右され、情動さえも動かされます
- ある研究では、腸内細菌の遺伝子数が個人によって大幅に異なることがわかった
- 77%の人が平均で約80万個の固有な腸内細菌の特異的遺伝子を持つ
- 残りの23%は、40万個であった
- 遺伝子数が少ない集団は、より肥満傾向にあった
肥満問題解決の糸口
- 現代は、「肥満」「糖尿病」が大問題となっている
- 脂質や糖質を食べすぎているから太る、と単純に考えるだけでは、解決できない
- 肥満の人が持つ腸内フローラには、ちょっと食べただけでますます人を太らせる効果があることがわかった
- 要は、「太りやすい腸内フローラ」と「太りにくい腸内フローラ」がありそう
- 高食物繊維・低カロリー:太りにくい腸内フローラ
- 低食物繊維・高カロリー:太りやすい腸内フローラ
- ここで大切なのは、腸内細菌は、善玉か悪玉かというよりも、「栄養摂取状態で増殖のバランスを変化させ、栄養吸収効率を左右する菌がいる」ということ
どうすれば「やせ菌」が増えるか
- 「やせ菌」と「デブ菌」はトレードオフの関係にある
- 「デブ菌(フィルミクテス門)」にも種類がある
- 「デブ菌」には、通常ではそのまま排泄されてしまうはずの成分を吸収し、それを栄養素として取り込んでしまう細菌がある
- つまり、デブ菌は、食事から吸収するエネルギー量が多いということになる
- カロリーが過剰になると、デブ菌は増加し、やせ菌が減少してしまう
まとめると・・・
- デブ菌が好きなエサ:低食物繊維・高カロリー
- やせ菌が好きなエサ:高食物繊維・低カロリー
- デブ菌が増えると:がんをはじめ、いろいろな生活習慣病になりやすくなる
- やせ菌が増えると:炎症の抑制、免疫力強化の効果が出てくる
がんとの関連性
- 腸内細菌が、肝臓がんの発症に関わっていることがわかってきた
- デブキンが、肝臓がんを引き起こす原因となっている
- 肝臓がんを防ぐには、肥満を解消することが大切
- つまり、脂肪分の多い食品や糖質含有量の多い食品を控える
- 食物繊維を多く摂っていると肥満は解消される
- 肥満がなくなれば、デブ菌の異常繁殖は減り、腸内フローラのバランスが整い、肝臓がんにならない体になっていく
プラーナの感想
今回は、「やせ菌」と「デブ菌」という概念が出てきました。差別用語的なワードなので、あまり好きな表現ではありませんが、わかりやすいという意味では、使えそうですね。
ここでは、
- 腸内細菌は、多様性とバランスが大切
- 食生活によって、腸内細菌は変わる
- 多くの現代病と関連がありそう
ということがわかりました。
「今日食べたものが、明日の自分を作る」という標語のようなものをボクはいいなぁと思っていました。このイメージは、食べたものが消化吸収されて、体を構成している、というブロックやパズルのようなイメージでした。
ところが。
消化器官には、腸内細菌が居て、彼らが僕たちの生命を育てていてくれているということがわかり、認識が大きく変わりました。
大袈裟に言えば、
「僕たちは、腸内細菌のために食事をした方がいい」
と言っても言い過ぎではないのかもしれません。
それが結果的に、自分自身の体、そして心を育むことにもつながる、と思うからです。
次回の第4回では、脳の働きについても明らかになりますが、ボクたちは2つの系統で生命が維持されています。
- ミトコンドリア系(腸)
- 解糖系(脳)
つまり、腸と脳のバランスが、わたしたちの日々の感情や情動の根源に影響を与えていると考えることもできるのではないかと思いました。