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ウルフ・オブ・ウォールストリート
あれからまだウルフオブウォールストリートについて考えています。余韻があるのは、良い作品だったということですよね。
さて。今回は「足るを知る」というワードが浮かび上がってきました。
「足るを知る」とは、古代中国の思想家、老子の言葉です。 「足るを知る者は富む」、つまり「何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける」ということを表しています。
「足るを知る」と、幸せになれる / 植西 聰【著】 – 紀伊國屋書店
引用元はググったら一番上に出てきたものです。
「足るを知る」という言葉は、20代後半で耳にしたと思います。そのときは「なんだか悟ったような気取った感じがするな」みたいな印象がありました。
30代になってからは「いまの状況に嘆くことが多いけれど、周りを見れば、十分に幸せな状況ではないか。いまをちゃんと受け取ろう。ないものを数えるよりも、あるものを数えよう。」みたいな気分でいました。
そしていま。42歳でウルフオブウォールストリートを見て思ったことは、「足るを知ろうにも、最大値と最小値を知っていなければならないな」ということでした。
もう少し解説してみたいと思います。
「足るを知る」ということはですね。十分にある状態を10としたとき、その10を知っていること。その10に対していまは3だから、足りないよね。このときに思うことは
・3しかないのか
・3もあるのか
という考え方だと思うんです。
「3もあるのか」というのがおそらく「足るを知る」みたいなことだと思うんです。
ところがですね。20代に「最大値は10だな」と思っていたら、30代になっていろいろな人に出会ったり経験を積んだら、「秋田では10だけど、日本で見たらの最大値は50だった」となり、さらに「世界で見たら最大値は100だった」となるわけです。すると、3/10だったものが、3/50となり、3/100となります。
つぎに、40代になると1が10個で最大値10だったけれど、0.1が100個で最大値10なのかもしれないな、と思ったりするわけです。
・世界が大きいことを知るのか。
・世界の解像度が細かいことを知るのか。
少し話が逸れてきましたので、そろそろまとめます。
ウルフオブウォールストリートでは、欲望の資本主義の最大値(とにかく下品で、身も蓋もない、快楽を追求する)を提示したような作品としてもみることができると思うのです。贅沢の限りを尽くしたもの。金で買えるものは全て買い、金でできることはなんでもした、みたいなことです。
この「欲望の最大値」を知っておくことで、自分の状況がいかに「足るを知る」ということが初めて考えられるのではないでしょうか。
今回のエッセイはここまで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。