#3 においの仕組み|においの情報は電気信号となって脳をめぐる|アロマの基礎


はじめに

「においがない暮らし」って、想像できますか?においがなくなると、生活は大きく変わってしまうでしょう。たとえば、鼻をつまんでご飯を食べると、どんなことが起こるでしょうか?

ここでは、においと脳の関わり方ついて、ご紹介いたします。

数千種類の香りを嗅ぎ分ける

ワインのふくよかな香り

人間をはじめとして、動物たちは、1回の呼吸で、素早く匂いを判別することができます。たとえば、「ワインの匂いの記憶がある人」は、目を閉じて匂いを嗅いだだけでも、それが「ワインである」と判断できます。

これはあたりまえのような気がしますが、よく考えてみると、ワインには数百種類以上の「匂い分子」が見つかっていますから、それだけの情報を一瞬にして処理している、と考えることができます。

匂い分子

匂いの分子は、世の中に数十万種類ある、と言われていますが、人間は、そのうちの数千種類をきちんと嗅ぎ分けることができます。なぜ、そんな膨大な匂いを識別できるのでしょうか?

秘密は、匂いセンサーにあり

匂いのメカニズムを学ぶ

匂いは、鼻腔内にある「嗅細胞」で電気信号に変換され、脳に伝わります。この嗅細胞は約500万個あり、それぞれが、ひとつずつ、嗅覚受容体(=匂いセンサー)を機能させています。

匂い分子に反応しているのは、厳密には、この嗅覚受容体(=匂いセンサー)である、と言えます。

匂いセンサーの種類

人間の場合、匂いセンサーは350種類ほどあるといわれています。1種類の受容体が反応する匂い分子は複数の種類があります。そこで、匂いの種類や強さを細かく把握しているのです。

ワインを例に挙げると、ワインに含まれる数百種類の匂い分子と、匂いセンサーが反応することで、数百種類の電気信号が発信されることになります。

この複雑な電気信号の組み合わせを、脳が認識することで、さまざまな匂いを嗅ぎ分けているのです。

アロマと脳の関係

実験で見えてきたアロマと脳の反応

2012年、科学技術振興機構(JST)と東北大学の研究チームは、匂いの情報がどのように処理され、識別されているのかをレポートしました。

レポートによると、嗅細胞が活性化すると、酸素の消費量が増えるため、脳内の血流も増えることがわかっていました(これは、脳をマッサージしているような、そんなふうに読み取れませんか?)。

この特徴を利用して、脳神経細胞と血流の動きを観察できる「fMRI」という装置を使って、ラベンダー精油の香りを嗅いだときのラットの脳内を測定し、電気信号を受け取った脳の反応を分析しました。

この実験から、匂いを嗅いだラットの血流は、前脳の嗅球から、奥の嗅覚皮質へと流れていくことがわかりました。

電気信号のプロセス

匂いの電気信号は、

  1. 大脳辺縁系に伝わって
  2. ここで知っている匂いかどうかを記憶と照らし合わせて探る
  3. 次に、匂いの電気信号はさらに脳の奥へと伝わり
  4. 最終的に嗅覚皮質まで伝わる
  5. そこで電気信号を情報処理して
  6. なんの匂いなのかを識別し
  7. 記憶や感情が作り出されていく

というプロセスを経ていると考えられます。

匂いを嗅いで、懐かしく思ったり、リラックスしたりするのは、こういう作用が働いていると考えています。

香りで脳が活性化する?

匂いの電気信号が伝わる仕組みがわかったことで、今後は嗅覚障害の治療や人工嗅覚の開発への応用が期待されています。

大人になっても新しい神経細胞が生まれる

さらに、未体験の新しい香りを嗅ぐと、脳が刺激を受けて、情報処理のために、新しい神経回路を作ることもわかりました。通常、神経細胞は大人になると新しく作られることはありませんが、嗅細胞に関しては、例外的に生まれています。

この性質を利用して、脳障害で損傷した神経細胞を回復させる研究なども検討されています。

さいごに

このように、香りと脳のメカニズムがわかってきたことで、私たちに応用できることが、2つあると思います。

定番の香りでリラックス

「香りが記憶と関連している」という特性をいかした香りの活用法です。過去に経験したポジティブな感情と結び付けられている香りを嗅ぐと、脳は自然と「ポジティブな感情」を思い出し、記憶や感情が作り出されます。

これを日頃からじょうずにとりいれていると、

  • 好きな香りで、じぶんのテンションを上げる
  • 悲しい時に、心地よい香りを嗅いで、心を癒す
  • イライラする時に、優しい香りで、自分の機嫌をとる

などが、できるようになります。プラーナではこれらを「魔法を使うように、機嫌を取る」と考えています。

いつもと違った香りでトキメキ

新しい香りを嗅ぐと、脳は新しい神経細胞を作ることがわかっていますから、普段と違う香りや、あえて苦手な香りを嗅ぐことで、新しい発想や体験、価値観が生まれてくるかもしれません。これは文字通りの意味で「気分転換」になると思います。

いろいろな香りをたのしもう

このように、香りはヒトにさまざまな影響を与えます。ここでは、ポジティブなことを取り上げましたが、逆のことを考えると、どういうふうになっていくのかは、予想できますね。

好きな香りだけ、というのも大事だけれど、気分を変えて、季節によって、いろいろな香りをたのしむことが、ゆたかなライフスタイルに導いてくれると思いませんか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この投稿は参考文献をもとに、プラーナの経験などを交えて記載したものです


<自己紹介>
ハーバルカフェプラーナ店主の神馬(ジンバ)です。2011年4月からプラーナを開業して、ハーブとアロマの専門店をしています。日本メディカルハーブ協会認定のハーバルセラピストです。ハーブ専門家として活動や、セラピストとして「ライフスタイルデザイン」のアドバイスをしています。お仕事のご依頼、お待ちしております。

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